ほっとちょこれーと *【完】

そう思っていると翼君と要君がベンチにやってきた。



「藍田先生」

「お前らしゃれたことするな」

「……。」



しゃれたことって何?



「メンバーチェンジ」



そう言って藍田先生は颯斗の背中を押す。



「ワンチャンス。お前が止めて県大会いこうじゃん」

「キャプテンお願いします」



翼君たちの狙いがようやくわかった。

0―0でPK戦に持ち込むために前線を下げてたんだ。


颯斗を試合に出すために…



「全員サッカーでしょ?先輩」



颯斗が足を引きずりながらゴールへ向かう。

今の状態だとボール見てから飛びだしたって間に合わない。

蹴る瞬間どっちかに飛び出さなきゃ…



「颯斗!!」


あたしは颯斗と相手チームのキッカーに聞こえるように叫ぶ。




「左だよ」


「「え?」」



1人で勝手に心理戦を始める。

託すよ 颯斗




「大丈夫だよ 心結」

「灯璃……」


「颯斗君は絶対 止めれる。心結が信じないでどーすんのよ」

「……うん」

「颯斗君ー!!右だよ右」


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