ほっとちょこれーと *【完】

八嶋便乗

キッカーの人、え~?って顔してるし。



ボールを置く。

助走をつける…


ボールを蹴る瞬間、颯斗が飛んだのは左だった。





「………。」



思わずぎゅっと目をつぶってしまった。




「や……やった」

「………え?」



目をあけるとボールは確かに颯斗の腕の中




「やったよ。県大会進出だ」

「「きゃー!」」



チームのみんなが颯斗に駆け寄る。


勝った……の?




「ょ…よかったぁ」



安心感からか腰が抜けてその場に崩れ落ちる。


要するに腰が抜けたのです。



「よかったぁ……」


「ほーら、心結も行くよ!!」

「わっ」



灯璃に無理やりたたされてみんなのところへ駆け寄る。



「心結っ」

「おめでと 颯斗」


「心結のおかげだよ」

「え?」

「お前が左って言ったから止められたんだよ」


「颯斗ぉ……」



あたしは颯斗に飛びついた。



「泣くな泣くな」


うぅ……


「もらい泣きするやんやめてーやぁ」

「あたしも~~」



勇心君、号泣だし

灯璃、大号泣だし。



「お前ら 泣くのはまだ早ぇーぞ。俺ら全国まで行くんだからよ!!」




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