幸せ物語 KANON
「ありがとうございます」
「「え?」」
ふたりのおかげで,
隆司のトコへ行けた。
あたしの本心に気がつけた。
勇気をもらった。
ホントにありがとう。
だけどやめることは
できない。
あたしが説得したい。
自信なんてないけど,
自己満足のためだけど。
理由はただひとつ。
好きだから。
隆司が社長室の扉を
叩いた。
「どうぞ」
扉を開くと広い部屋。
左右の壁は本棚で本が
ぎっしり並べられている。
手前にソファが向かい合うよう
にあって,その間には机。
そしてその奥にでっかい
机と社長。
「秋晴。その子は誰だ」