幸せ物語 KANON
「秋晴は,いままで恋愛や
女の子に本気になった
ことがないんだ。
秋晴を本気にしてくれて
ありがとう」
『ありがとう』―――
それってもしかして,
これからも隆司といて
いいってこと…?
「あっ…あの!」
「なんだい?」
あたしは少しうつむいて
話出した。
「隆司は…本気ですか?」
「ん?」
「あたし,不安なんです。
芸能界にはきれいなひとや
かわいいひと,隆司には
あたしなんかよりもっと
似合うひとがいっぱいいる
じゃないですか。あたし…
隆司がどう思ってるのか
なんてわからないから――」
社長はくすりと笑った。
まるで,答えを知っている
かのように。