幸せ物語 KANON
…翌日…
朝から,いや昨日の夜から
ワクワクしてて
50分には池袋についていた。
でも,10時になっても
隆司は来なかった。
どうしたんだろ…?
ドタキャンかな?
仕事入ったとか…。
いやいや!
もしかしたら,どこかで
笑ってるのかも。
あたしとデートなんて
ありえないもんっ。
そうキョロキョロしていると
どこかから,
声がした。
「……花音っ」
小さな小さな声。
隆司はビルの影にいた。
「どうしたの?」
「追っかけがいてさ」
……"追っかけ"。
いるんだ,そんなひと。
バカみたい…!
「じゃ,今日のデートはなし?」
「なしがイイ?」
ダイスキな隆司とのデート。
一生に1度もないもの
だから……。
「嫌だっ! …て,
わがままだよね…?」
って,控え目に言ってみた。
すると隆司は,
サングラスもボウシもおっきな
バックに詰め込んで,
大通りへと出ていった。
暗いビルの影から
明るい大通りへ。