だいすき
2人の夜
―……―
「ま、ゆっくりして行けよ。」
「うん。ありがと」
あたしは秋穂の家に連れてこられた。
全体的に黒と白の家具ばかりの、モノトーン的な部屋だった。
秋穂は「そのソファに座って?」と言って、自分はベットに腰をかけて言った。
「真美……久しぶりだな。何年ぶりだろうな???」
秋穂は今日のキスの事にはいっさい触れずにいてくれた。
だからあたしは喋りやすくなってホッとした。
「うん。久しぶり。何年ぶりだろーね?あたし、秋穂が帰って来てくれてすごい嬉しかったよ。あの保育園の時は、悲しい別れだったから……」
これは、素直な気持ちだった。
本当に秋穂が帰って来てくれて嬉しかった。
でもあのタイミングは―……ダメでしょ……
「うん。ゴメンな。あの時の俺は真美の事なにも考えてなかったカラ…」
急に秋穂が悲しそうな顔をしたら、あたしは胸が痛んだ。
今すぐ抱きしめたい。秋穂がほしい。そう思った。
だからあたしは秋穂にしてはイケナイ事をしてしまったんだ……