フレテ
今の季節、6時はまだ明るくて陸上部がグラウンドで
叫んでいる声だけが遠くに聞こえる
「前橋?」
「…」
俺のとりえは誰とでもしゃべれること(そのあとやる)
のはずなのに…?
全然こっちも見ないんですけど…?
前橋は何か書いているようだった
俺いるのに気付いてない…?
「なぁ、前橋ー聞いてンのー?」
俺も少しいらいらしてきて
少しムキになって
前橋に近づいてその肩に手をおこうとしたときだった
「ビクッ」
小さな体が少しゆれ、大きくて黒い瞳で
俺をみた前橋に少しドキッっとした