フレテ
「フレられないけどあそこ、お客さん少なくて
給料高いから」
まぁ、俺が言っても毎回客少ないもんな
「…本当、いつもは商品整理でレジにはいないのに」
俺は一歩前を歩く前橋の背中を見つめる
その背中はどれだけのことをかかえているの?
「なんで…フレられるのダメなの?」
俺が一番聞きたかったこと
「…」
口を開かない前橋を見て
俺は状況をさとった
それから前橋はなにもしゃべらなかったし
俺も横目で前橋を何度か見て、口を閉じた
「…ここ」
ここが前橋の家らしく、立ち止まった
マンションのようだった