天使と私の物語 -「Dの物語」
「兄さんより僕の方がずっとリードも上手なんだ」
「私、初めはあなたのお兄様だと気づかなくて‥」
「兄さんはプレイボーイだよ」
そんな気はする
でも、そんなこと言ったら失礼だ
「女性にとても人気がありそうな方だから、そう見えるだけじゃないかしら」
「へぇ、早速ディーもメロメロってわけか」
やはり誤解されている
「違うわ。あれは・・」
「兄さんが言ってた。ディーが兄さんの顔をじっと見つめたって。だから思わずキスしたくなった、って」
あながち嘘ではない
あの時、私は青年が本当に彼の兄か確かめるために、その顔をまじまじと見てしまった
「誤解されるような態度を取った私が浅はかだったわ」
「兄さんもディーをすごく気に入ったみたいだ」
どうしよう
泣いてしまいそうだ
「‥そんなふうに言わないで」
不覚にも語尾が震えてしまった
「ディー?」
「…」
「あのさ、そうだ、もうひとつ伝えたかったことがあるんだ」
「…」
今声を出したら泣いているのが分かってしまう
「今日の君すごく綺麗だった。輝いていたよ。知ってたかい?男はみんな君を見てた」
(でも‥あなたはディーヴァを見ていた)
「‥ありがとう」
「ディー、じゃぁまたね」
「ええ。また」
カーテンを開けると
眩しい朝日が私の全身を包んだ