天使と私の物語 -「Dの物語」
第2章 - P.Y.T.
誰でもそうだと思うが
新しい仕事の初日となる日
私は緊張していた
これまでも知人や友人から
その息子や娘の家庭教師を引き受けた経験はある
それに大学で毎日学生と接する機会がある
だから人並み以上には
今の若者がどんな特徴や
メンタリティを持っているかは把握しているつもりだ
しかし今度は勝手が違う
何しろ世界的に有名な音楽グループのリードボーカルで
ソロアーティストが相手なのだ
鼻持ちならない若者だったらどうしよう、とか
お金で何でも解決出来ると勘違いしているのでは、
というネガティブな想像ばかりが頭をよぎる
(偏見が過ぎるわ)
自分で自分を戒める
なるべく先入観を持って初対面を迎えないように
彼のことは積極的に下調べはしてこなかった
積極的に調べなくても
街には彼らの歌が溢れていたし
彼らがメディアに現れない日はなかった
しかし、依然として彼の本当の姿は謎のままだ
いよいよ最初の授業が始まる
教材と質問に対する予習はバッチリだ
今回は特に念入りに
どんなひねくれた質問にも答えられるよう準備をしてきた
彼の豪邸に着くと
人々がひっきりなしに正門の前で
記念撮影している
もちろん、高い塀や木立に遮られて
外から中を伺い知ることは出来ないが
ファンとおぼしき人々は
スターの豪邸を前にしてとても満足そうだ
私は事前に指定された
使用人や業者の出入口と思われる別の小ぶりな門に行くと
手短かに用件を伝えた
「やぁ、聞いてるよ」
セキュリティスタッフは愛想よく私を通してくれた
中のスタッフに誘導され
いよいよ彼との“教室”となる
明るい客室に通された
新しい仕事の初日となる日
私は緊張していた
これまでも知人や友人から
その息子や娘の家庭教師を引き受けた経験はある
それに大学で毎日学生と接する機会がある
だから人並み以上には
今の若者がどんな特徴や
メンタリティを持っているかは把握しているつもりだ
しかし今度は勝手が違う
何しろ世界的に有名な音楽グループのリードボーカルで
ソロアーティストが相手なのだ
鼻持ちならない若者だったらどうしよう、とか
お金で何でも解決出来ると勘違いしているのでは、
というネガティブな想像ばかりが頭をよぎる
(偏見が過ぎるわ)
自分で自分を戒める
なるべく先入観を持って初対面を迎えないように
彼のことは積極的に下調べはしてこなかった
積極的に調べなくても
街には彼らの歌が溢れていたし
彼らがメディアに現れない日はなかった
しかし、依然として彼の本当の姿は謎のままだ
いよいよ最初の授業が始まる
教材と質問に対する予習はバッチリだ
今回は特に念入りに
どんなひねくれた質問にも答えられるよう準備をしてきた
彼の豪邸に着くと
人々がひっきりなしに正門の前で
記念撮影している
もちろん、高い塀や木立に遮られて
外から中を伺い知ることは出来ないが
ファンとおぼしき人々は
スターの豪邸を前にしてとても満足そうだ
私は事前に指定された
使用人や業者の出入口と思われる別の小ぶりな門に行くと
手短かに用件を伝えた
「やぁ、聞いてるよ」
セキュリティスタッフは愛想よく私を通してくれた
中のスタッフに誘導され
いよいよ彼との“教室”となる
明るい客室に通された