天使と私の物語 -「Dの物語」
例えば、公園に散歩に行くこと
普通の人間にはいとも簡単なことが
彼にはとても難しい
一歩家を出ればすぐに人だがりが出来
フラッシュライトが浴びせられ
彼の一挙手一投足がメディアに発表される
「有名税だよ。パパラッチも生きるためにやってるんだ。でももう少し手加減して欲しいな」
と苦笑する彼が本当に気の毒でならない
「神があなたに与えたもうた素晴らしい才能があなたを喜ばせ、そして苦しめてもいるのね」
彼に本当の休息の時間はあるのだろうか
「ね、今度ディーの車で僕を映画館に連れて行ってよ」
「大丈夫かしら」
「分からない・・でも、ディーと一緒に観たい作品があるんだ」
「分かったわ。では次の木曜に」
「本当?約束だよ」
彼ははしゃいだ声をあげた