天使と私の物語 -「Dの物語」
7-4 The Love You Save
会場を後にすると
私はゆっくり歩き出した
まずは落ち着こう
今日の私は感情のコントロールが全く出来ていない
夜空に浮かぶ美しい星を見上げる
今日見た彼のいろいろな表情が
浮かんでは消えた
「ディー!」
呼ばれて振り向くと
マットが大きな身体を揺らして走って来た
「彼がキミを探している」
「…帰った、とお伝えくださらない?」
どんな顔をして戻れというのか
「慣れない靴を履いて、足がとても痛むの」
本当のことだ
「ディー…」
彼の命令は絶対なのだろう
私はマットを困らせている
「…私が戻らないと、あなたを困らせてしまうわね」
諦めて戻るしかないだろう
またあの光景を見なければならないのか
ディーヴァと彼の‥
泣いてしまいそうになった
今日はどうしても感情が安定しない
私はマットに背を向けた
「ディー?」
マットが私の肩に手を置いた
次の瞬間
マットの大きな身体に
すっぽり抱きすくめられた