異世界の花嫁
「うわぁ。ほんと綺麗。こっちの世界の花色鮮やかで可愛いんだなぁ」
初めてみる花ばかりでゆっくりと歩きながら広い中庭を奥へと進んでいく。
「あれ?だれかいるみたい」
木々の間から人の足がみえていた。
そーっと物音を立てないようにその人へと近づいていく。
「で・・んか?」
そこには山積みになった書類の束と、綺麗な寝顔をして椅子に横たわっているティアスがいた。
「どうして殿下がここに・・?」
疑問に思いながらもゆっくりとゆっくりとティアスに近づくシェイナ。
手を伸ばせば触れられそうな距離まで近づくとそっと腰をおろした。
(やっぱり綺麗な顔してるのねぇ。鼻高いしまつ毛長い。)
ジーッと寝顔をみつめていると中庭にふわぁといい風がはいってきた。
その風がティアスの髪をサラッとなびかせた。
(髪もさらさらで綺麗。やわらかそう)
ふっとおもむろにティアスの髪へと手をのばしていく。
あと少しというところでティアスの目がひらき、伸ばしていた手も引っ張られ、そばにおかれていた剣を首もとに付きつきられた。