異世界の花嫁
「ここに?」
「ああ。ここに仰向けになって倒れてた」
「・・そうだったんですか」
「・・・・・」
「私、帰れるのかなぁ・・?」
「それはわからない。
この国、いや地球には俺が知っている限りでは異世界からきた人というのは聞いたことがない。そんな非科学的話は小説の中だけだ。だからなんとも言えない。だが、お前が帰る方法はさがしてみせる。その間の生活についてはなんら不自由させるつもりはない」
「ふふ。ありがとうごさいます ティアス。
あっ そういえばヒューズさんから聞いたんですけど、私を助けてくれたのってティアスなんですね。ありがとうございました」
ペコっと頭をさげてから極上の笑みでほほえんだ。
夕日が中庭にはいりこみティアスの後ろを照らし、シェイナが見とれてしまうほど綺麗にティアスは立っていた。
しばしお互いに見つめあいそっとおもむろにティアスがシェイナにむけて手をのばした。
あと5センチで手が触れるという時に「クシュ」とシェイナがくしゃみをした。
そのくしゃみで2人は我にかえった。
「冷えてきたな。シェイナもこれ以上そんな薄着でいたら風邪を引く。室内へ戻った方がいい」
「でもルイアが迎えにきてくれる予定のはずなんですけど・・」
「ルイアには俺から伝えとく。部屋まで送ってやるから戻るぞ」
「あっ。待ってください」
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「じゃあ暖かくしとけよ。昼間は暖かくても夜は冷えるからな」
「はい。あの、送ってくれてありがとうございます」
「ああ。じゃあな」
シェイナの頭をそっとなでて自分の部屋へと歩を進めた。
自分の部屋に入ったシェイナは別れ際の行為によって顔を真っ赤にさせて床に腰が抜け座ってしまった。