ピリオド [短編小説]
「セーフ!?」
バンッと思い切りドアを開け、辺りを見回す。
しかし、先生はいなくて、授業も始まってなかった。
「先生、来てねーよ?」
「純。何で?」
「さあ?」
純と呼ばれた少年は興味なさげに言い、僕にあった純の視線は、いつの間にか僕の後ろに隠れていた愛に視線を移す。
「どうして隠れたんだ?」
「知らない」
「取りあえず席に付こうか」そう言って僕は自分の席に戻る。
そして、愛との席はそう離れていない事を知った。

しばらくして先生が来て、みんなに謝罪会見を開き、授業を始める。
…英語の授業だ。
はっきり言って英語は苦手。
受験の時は英語がなかったからよかったと思う。
なにもかもちんぷんかんぷんで、右斜め上の席にいる純を見ると、「は?」と顔をしかめていた。
よく見ると他のみんなもだ。
やっぱりな。そう思って、頭に入りやしない事を聞いていた。
するとチャイムがなり、急に辺りが騒がしくなる。
「うるさいぞ」と言ってチョークを投げた先生。
当たったのは…おいおい…純かよ。
何したんだ?あいつ。
当たった所を抑えながら謝る純を見て、笑っていた人がほとんどだった。
哀れな…僕はそう思っていた。

そして時は進んでいった。
僕が、愛を好きだと気付いたのはもの凄く遅くて、中3の時、既に体の自由はなくなっていて、「潮時…か」そう病院のベッドに横たわって呟く。
何ヶ月も学校に行っていなく、勉強も飽きたのでいつものようにテレビを付け、ニュースを見る。
目に映ったのは、燃えあがっているビルや、巻き込まれた建物達。
どうやら何か実験をしていて、爆発を起こしたらしい。
どんな実験だったかまでは知らないが、相当大きな実験だったのだろう。
当然死者もいた。
周りの建物を見る限り、被害者も少なくはなさそうだ。
すると、いきなり病室のドアが開く。
「じゅ…ん?」
凄い勢いで僕にこう言った。
「さっきのニュース!!見た?」
「あ、ああ」
「それでね。さっき連絡があったんだけど、そのビルに俺達の学校の1年が社会見学に行ったんだ」
言葉が出なかった。
「俺は家の事情でお休みしてたんだけど…他のみんなは…」
「そん…な」
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