ピリオド [短編小説]
しばらく沈黙が続く。
先に口を開いたのは純だった。
「基山が、手紙を書いてたんだ…」
「手…紙…?」
声をふるわせながら言う僕を見ながら話を続ける純。
「基山が持ってるから内容は分からないけど」
再び沈黙が訪れる。

「…。純…僕、もう分からないや」
「何が…?」
毛布に顔を埋め、震えた声で言う。
「病気にかかって、もうすぐ死ぬのも怖い。怖いけど…どうしてだろう。愛がこの世にいないって…そっちのほうが怖いんだ。辛いんだ…」
溜まっていた涙が溢れ出す。
それくらい僕は愛が好きだった。
それくらいこの世界を愛そうとしていたのに…。
「ーー。俺は病気にもかかった事なんてねぇし、大切な人を亡くした事なんてねぇから、お前の気持ち、分からないけど、辛いよな。苦しいよな…」
純だって、仲の良い友達はいたはずだ。
僕だけが辛いわけでも、苦しいわけでもないのに…、一番辛いのは、亡くなったクラスメイトやクラスメイトの両親なのに…。
それでも、苦しいものは苦しいんだ。

泣き疲れた僕らは、毎日会って話した。
詳しく言えば、純が遊びに来てくれた。
1年みんなが亡くなってしまったから、今は学校は休みらしい。
日に日に弱っていく僕の体は、終わりは近い。そう告げているのだろう。
純を1人にしたくないのに。
しかし、それは無理な願い。
どうか、どうか1秒でもいい。
長く生きさせてください。
純は僕の最初で最後の親友だから…。
少しでも長くいたいから…。
だから、あと少しだけ。
僕の体がもちますように…。
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