ピリオド [短編小説]

「んっ…」
昼寝から目を覚ましたアランは、大きく腕を上に伸ばし、
何を考えたのかと思えばまた眠りに付く…筈だったが、
むやみやたらでかい音のせいで眠気なんかぶっ飛んでしまった。
「ななな、何だ!?今の!!」
アランは慌てて立ち上がり、あらゆる場所にあらゆる所をぶつけながらもその音がした方に向かった。
「なん…だ…?これ…」
辺り一面に広がる真っ黒な煙。
その煙が、１つの湖を包んでいた。
「あそこは…ルーシ湖…?」
見覚えのある湖だと思えば、よく愛に会いに行ったルーシ湖だった。
「一体何が…」
状況を上手く把握出来ずに、ただ唖然としていると、返事が返って来た。
「飛行機が墜落したんだとよ」
「…ティラ…」
「愛…?がいるんだろ?大丈夫なのか?」
その言葉に、どう返していいのか分からなくなったアランは、ただ黙って見ていた。
「…行かなくてもいいのか?」
「………………行ってくる」
アランは走り出した。
羽を使って飛べばすぐにつくのに、今はそんな事なんか考えてられない。
ただ、ひたすら走り続けた。

ーどうか、無事でいてください…
そう、強く願うしか出来なかった。

「あ、愛っ…!!けほっ」
やっとたどり着いた頃、既に周りの木々は燃え尽き、灰が山積みになっていた。
煙のせいで咳き込みながらも歩いていく。
すると、光が何かを包んでいたのが見えた。