ピリオド [短編小説]
「湖だけでも、守りたい」
愛の声で我に帰る。
愛は、よろけながら、水を渡り、湖の真ん中に行く。
「何をーー!?」
アランが愛の元に行こうとする。
すると、目の前を大きな光がアランの邪魔をする。
「晃君…。これで、本当にお別れだね…」
「愛っ!!やめろ!!」
アランの叫び声は、光の音のせいで虚しく消える。
「いままでありがとう。少しでも、人を愛せて良かった…」
そう言い残し、光の中に消えてゆく愛を、アランは、ただ呆然と見つめる事しか出来なかった。

光が消えた頃には、何事もなかったかのように、湖は戻り、人が集まる。
「愛…」
ぽつりと呟いた声はすぐに消えた。

また、大切なものを失ってしまった。
僕は、どうすればいいのだろう。
彼女がいない、この世界を美しいなど思えない。
思いたくもない…。
もう、目の前は真っ暗だ…。
大勢の人混みの中に1人、うつむいて涙を流した。
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