ピリオド [短編小説]
2.「なくした感情」
「バロ様、有難う御座います」
アランは、バロ様と呼ばれた人にお辞儀をした。
バロ様は、神の中でも一番偉い方である。

神の中でも位はある。
6神(むしん)と呼ばれる神達の事だ。
一番上の位から

大神(だいしん)→この世全てを管理する神
世神(よしん)→世界の管理をする神
命神(みょうしん)→命の管理をする神
名神(めいしん)→名前を管理する神
地神(ちしん)→地の管理をする神
海神(かいしん)→海の管理をする神

アランは、その中の3番目にあたる、「命神」だ。
あらゆる命を管理しているアランは、3番目の位だとしても、命というからにはやはりそれなりに仕事はある。
これから生まれる人や、これから死ぬ人…。
全ての情報がアランに届くのだ。
それについて、「アランはまだ子供なのによく仕事をこなしているな」
そう褒められていたのであった。

「そういや…ティラは世神だつたな…」
「ああ。世神だぜ?」
ティラがいきなり上から降りて来たため、アランは思わず尻もちをついてしまった。
「び、びっくりしたぁ…」
「すまん。脅かすつもりはなかった」
ティラが差し出した手を取り、起き上がるアランに苦笑いしながら言つた。
「アラン…最近変わったな」
「何で…?」
きょとんとするアランの頬をティラは引っ張った。
「ひひゃひほ~…(訳:痛いよ~…)」
「ははっ…。何て言うかな…愛香…だっけか?そいつと会ってからお前、変わったなって」
引っ張られた頬を抑えながらアランは言った。
「…ただ、話てると楽しいだけだよ。僕はずーっと昔に好意という物は捨てた。だから…変わってないさ」
「そうか。まあ、変わろうが変わらまいがアランはアランだもんな」
「そーゆーことっ!!」
腰痛てぇ。と言いながらアランは背筋を伸ばし始める。
この時はまだ、小さな変化しかなかった。
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