ピリオド [短編小説]
「どうした?元気ないな」
「ティラ…。うん…ちょっとね」
そんなアランを見て、ティラは顔をしかめる。
「まさか…人間に恋をしたんじゃないだろうな?」
ビクッと体を振るわせるアランに、ティラはため息を付く。
「図星か…」
「…愛香は、今まで接した人達とは違ってた」
そう言ってうつむくアラン。
「それは、“昔亡くした彼女”に似ていたからか?」
「っ!…どうしてそれを…」
顔をあげるアランを優しく見つめるティラ。
「バロ様から聞いた。“事件の事”も、どうして“神様になった”のか…も」
「そっか…」
再びうつむくアランの、栗色の髪に手を置くティラ。
「隠さないで言ってくれないか?お前が“人間だった頃”、体験した事を」
アランはうつむいたまま、首を縦に振った。
「長くなるけど、聞いてくれる?」
「ああ」
「本当に…?」
「ああ」
「…全ての始まりは、僕がまだ5歳の頃に遡る(さかのぼる)よ…」
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