ピリオド [短編小説]
中2のある日。いつもどおり1人でお弁当を食べようと弁当箱を持って屋上に行く。
「あ…」
そこにいたのはフェンスをこえて、今にも落ちそうな女の子がいた。
「何…してるの?」
だいたい想像は付く。きっと自殺しようとしているのだろう。
「見て分かりませんか?…自殺しようとしているのです」
敬語で話す彼女は、やはり自殺しようとしていたらしい。
「…ねぇ、僕…君と話したいんだ。こっちに来てくれないかな…?」
僕は、彼女と話しをしたい。
そんな想いが強くて、思わずそんな事を口にしてしまった。
「…。今まで会った人と全然違う…焦らず…しかも止めようとしないなんて…」
少女は驚きが隠せなかった。
しばらく沈黙が続いたが、少女はフェンスをまたいで、僕の方に向かって来る。
「私は“愛”。基山 愛です」
「僕は…」
「ーー君…ですよね?」
「え…何で知ってるの…?」
びっくりだ。どうして彼女は僕を知っているのだろう…。
「有名ですよ。頭もいい。顔もいい。性格もクールで格好いい…完璧な男の子!!として」
…なんじゃそりゃ。良く分からないな…。
「兎に角有名なんです!はぁ~…近くで見ても格好いいです」
「そんな事ないって;お世辞は勘弁…「お世辞なんかじゃないです!!」…はい」
「…それと、ごめんなさい。私、不幸な事ばかり起きて…もう生きるのが嫌になっちゃって…どうしようもなかったんです」
彼女も苦労してるのだろう。
笑ってはいるが、目が赤く腫れていた。
そうとう泣いたのだろう。
「あ、えと…は、ハンカチ使う…?」
近くにあった水道でハンカチを濡らし、「はいっ!」と言って愛に差し出す。
「…ありがとうござい…ます」
愛は、そういって受け取り、微笑んだ。
可愛いってこういう事なんだろう。と初めて思った。
「あ、ご飯食べなくちゃ…」
「あ…わ、私も…です」
時計を見て、あと10分しかない事に気が付き、急いで準備をする。
「一緒に食べてもいいですか?」
「勿論!…敬語外してくれないかな…。同い年だよね?」
「はい!中2です!しかし、ーー君にタメ口なんてとんでもない!…敬語でいいんで…「僕が嫌なの…」…分かりました…じゃなくて分かった」
恥ずかしそうに言う彼女を見て、僕は一瞬ドキッとなった。大袈裟かもしれないけど…。
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