あかねいろ【BL短編集】



「お前も帰るのか?」

「……たまにしか帰れないからな」


荷造りをする手を止めずに、清士郎はそっけなく答えた。


「てめぇは帰らねえのか?」

「……俺は、誰かさんが馬鹿力で破壊した壁とかを直さなきゃいけないんでね」

「嫌み言いに来たのかよ、…うぜぇ」


チッ、と舌打ちすると、清士郎は兵助の立っている入り口に背を向けた。

横目に入るのも嫌らしい。


兵助は清士郎の顔が完全に見えなくなると、物凄く悲しそうな表情を浮かべた。


(違う、嫌み言いに来たんじゃねぇのに)




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