IF・・・
「お前の名前は?」

戸惑っている私に聞いて来た君。

「私は…私は…戸田 春風。」

一瞬君の表情が変わったのが分かったよ。

「戸田…?誰だよ、お前…。」

「こっちが聞きたいよ!」

出会ってからの混乱が収まらない。

やっと耀琉に逢えたと思ったのに…。

「あの…氏原さん?私…あなたの事が元彼に重なって…。え、あの…すいません。」

変なこと言ってしまったかなってあとで後悔するのね。

「…俺も、そうだよ。俺の元カノと重なって見えた。名前も顔もそっくりなんだ。」

「私も…ずっと忘れられない人にすっごい似てて…。その人もう…死んだのに…。」

その瞬間私の体は少し浮いたんだよ。

「…氏原…さん?」

気付いたら私はもう君の腕の中に居て…。

耀琉じゃないのにドキドキしてて。

「ごめん…少しだけこのままで居させて?」

氏原さんの声と胸と腕にきつく抱きしめられながら、泣いた。

半年分の思いをぬかりなく。

溢れさせた、此処に。

氏原さんも泣いていた。

耀琉…これは…耀琉のせい?

耀琉がくれた、プレゼントなの?
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