生徒会の秘蜜〜ケモノ達の誘惑〜
プロローグ
蒼空side
「なぁ、先輩!俺のチョコ勝手に食った?」
「え〜、食べてないよ〜?」
「副会長…唇にチョコがついてますよ?」
…………
「あっ、ほんとだねぇ」
「ほんとだ、じゃねぇよ…。俺のだったのにさ……」
「はぁ……」
…………うるさい
いつものように騒がしいやり取りを繰り返す3人(実際うるさいのは2人だけど)を遠目で見ながら、僕は溜め息を吐いた。
僕の様子に気付いているのか、いないのか……ほんと、制裁でもくわえてほしいの?
生徒会役員に制裁なんて愉しそうだけど、今は【契約】のせいで出来ないし。
でも、やっぱりいずれやってみようかな…?
煩い2人と何かとムカつく1人を一瞥し、そんなことを考えながら無言で立ち上がると、僕よりも扉付近にいる3人の隣を通り過ぎて扉に向かう。
「ん…?蒼空、どこ行くの?」
呑気な調子で話し掛けてくる湊を鋭く睨み付ければ、何を考えているのか分からない笑顔が見えて。
僕が知る少し前までの湊と変わった雰囲気に、今だに違和感を覚えてしまう。
「……ここよりも静かなとこ」
口から零れそうになる溜め息の代わりにそう一言呟くと、踵を返し後ろ手で静かに扉を閉める。
「今から理事長が来るってのに、会長がどこ行くんだよ!」
扉が閉まる間際、生徒会室内からそんな言葉が聞こえた気がした。
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