生徒会の秘蜜〜ケモノ達の誘惑〜
兎を連れた狼:湊side
「ふぅ〜」
蒼空と有栖川來美が入っていった扉を見ながら、俺は小さく息を吐いた。
時雨と那智も同じところを見つめていた。
「蒼空先輩、あの子どーしたんだぁ?突然連れてきたりして……」
「会長、"アレ"以外の物に興味示した事ありませんし……正直驚きました」
いや……蒼空が有栖川來美を連れてきたのはアレに繋がるけど……。
それにしては扱いがおかしい気がする。
――――なんで……?
「――湊先輩!!」
……っ!びっくりした。
深く考え事しすぎたな……。
「なに〜??」
すかさず、顔に笑顔を張りつける。
那智はいつの間にか、俺の顔を覗き込んでいたらしい。
「ぼーっとして、どーしたんだ?」
那智が不思議そうに首を傾げている。
その後ろでは、時雨がクスクスと笑っている。
「ただ、蒼空の事に驚いてただけだよ〜」
納得した様子の那智の後ろ、まだ時雨が笑っているのが見える。
時雨が俺のアノコトに気付いてから、よく俺の事を見て笑うようになった。
それが、俺はすっごいムカつく。