生徒会の秘蜜〜ケモノ達の誘惑〜
「どーゆうって、そのまんまでしょ〜?」
憎たらしいくらいの湊の口調にも今は目を向けず、一番ましな説明が聞けそうな那智に視線を向ける。
「それに関しては俺にもよく分かんねぇけど……蒼空先輩は依頼内容知ってんだと思ってた」
「……なんで?」
那智の言葉に僕は首をかしげる。
「だってさぁ……」
那智は一度言葉を区切り、視線を依頼書に向ける。
「依頼が来たのは今日……。蒼空先輩がラビを連れてきたのも今日だろ??」
……確かにそうだけど。
どうして理事長は突然こんな依頼を……??
「どのみち、いずれは僕達から接触する必要があったので……手間が省けて良かったとは思いますが……」
時雨は珍しく気まずそうに目を伏せ、小さな声で呟いた。
「理事長の依頼条件にすでに反してしまいましたね……」
しばしの沈黙。
静かなのは嫌いじゃないけど……これは嫌な沈黙。
沈黙を破ったのは、湊。
「今回の依頼は、誰が指示だして動くの〜?前回は時雨がやったけどさ??」
周りを見回す湊の表情は相変わらずだけど……目が本気。
湊がまず視線をなげかけたのは時雨。
「僕は今回は遠慮しときます。この依頼は僕向きではないので……」
苦笑いで時雨は湊を見返す。
湊は次に那智に視線を向けようとして……
「今回は僕がやるよ、指示役」
僕の言葉で、湊だけじゃなく、他の2人の視線が僕に向いた。