白い鼓動灰色の微熱
その魅力が強いオーラになって見えそうな感じがする。こういう人間に、彩人を別にすると初めて会った。

何千人もでごった返す、遅延中の電車を待つ群れの中にいても、その、存在が光って見えるから、すぐに見付けられそうな、そんな雰囲気なのだ。

近寄りがたいような、そして吸い込まれそうな魅力である。

彩世は、彩世の方を向いている、その笑みを浮かべた唇に、自分の唇を軽く触れさせた。

彩世は、驚いて、瞬間的に清香から離れた。

何だ、今のは。

緊張とか照れとかからじゃなく、彩人に見つかった気がして、心臓がドキドキした。

思わずステージの上を見ると、彩人は熱唱の最中だった。

良かった。

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