白い鼓動灰色の微熱
「言ったはずです。犯人は、彼のようなルックスではありません」
 
大塚刑事は、豊の方をずっと見ていた。
 
刑事という職業柄、アイコンタクトというか、先ずその人間を伺うのが癖になっていた。
 
豊には、挙動不審なところはなかった。
 
ただ、知り合いが、水死体になったかもしれないという興奮と不安が少々付きまとっている。
 
そして、清水の言わんとしていることが大塚刑事にも分かった。
 
確か、犯人像のひとつは、自分の見た目にコンプレックスを抱いているというものだった。
 
豊は、すっきりと今風に整ったまともな顔をしていた。

その点から、犯人像とは食い違う。
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