白い鼓動灰色の微熱
そう思って、大塚刑事は笑いをグッと飲み込んだ。

「知り合いだと思った訳は?」

「着ていた服です。夕方彼女に会ったときに着ていた服に似ているんです」

「そうか」
 
遺体は行政解剖されることになるだろうということで、同じ棟にある部屋に置かれていた。

左手首から先がないということで、どう考えても変死なのだ。

それでは法律上、死因不明のまま火葬してしまうわけにはいかなかった。

だがまだ、遺体が誰かという確認が取られてないので、解剖の方には手を付けられていない。
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