白い鼓動灰色の微熱
何事かと振り返って、豊が体をくの字に曲げているのを見た。

大塚刑事のズボンの裾を濡らしたものは、豊の吐しゃ物だった。

遺体を遠目に一目見たとたんに、豊は吐き気に襲われたのだった。

大塚刑事は、清水を見た。

清水は、軽く首を横に振った。
 
これでは、豊を無理矢理遺体に対面させるわけにもいかないかもしれない。
 
せっかく遺体の確認が出来る人物が見つかったと言うのに。
 
大塚刑事は深い息をゆっくりと吐いた。
< 112 / 243 >

この作品をシェア

pagetop