白い鼓動灰色の微熱
ライブ会場に入った彩人のテンションが一気に上がったせいかもしれない。

彩世もその余波を受けて、ハイになっていたのかもしれない。
 
もっと慎重に切り取らなければ。
 
彩世のテンションを利用して誰かを死へと誘い、そうして冷静に手を切り離さなくてはいけない。
 
難しいことだ。
 
まだまだ、清香には手が出せない。
 
咲の手に意識を戻した。
 
何も塗られていない爪に、丁寧に、ベースコートを塗りつけた。
 
乾かして、いよいよ、咲に塗ろうと思っていた色の瓶を、ずらりと並んだ中からより出して、取り上げた。
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