白い鼓動灰色の微熱
咲に似合う色を三つ。
 
そしてそれを、咲の爪の横に置いてみた。
 
やはりべビーピンクが一番可愛い。
 
彩世はベースコートが乾くのを待つと、ベビーピンクを塗りつけた。

その色は、咲の爪を何倍も綺麗に見せた。
 
塗っている最中に、清香の手と顔がちらついて、思わず手を止めた。
 
細く長く、白く、しなやかに動く指。

「ああっ、駄目だ」
 
彩世は咲の手を放り出すと、しばらくの間、テーブルに付いた腕で顔を覆っていた。

それから立ち上がると部屋を出た。
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