白い鼓動灰色の微熱

テンション

ライブの予定の日じゃないのに、彩世の心は熱に浮かされたように、高揚し落ち着かなかった。
 
彩世が、歌っているのだ。
 
それがすぐに分かった。
 
多分、スタジオに入って練習しているのだ。
 
そう思って、彩世は自分の家の近所にあるスタジオに足を運んだ。
 
彩世が愛用しているライブハウスから近いし、駅からも近くにある。
 
きっと、ここだろう。
 
思って古びたビルの三階に上がると、廊下に鉄製のベンチに腰掛け、足を床に突っ張るように伸ばしている清香を見つけた。
 
スポーツ飲料の缶を傾けて、飲んでいるところだった。
 
当ったり。
 
彩世は心の中で思った。
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