白い鼓動灰色の微熱
清香は首を横に振った。

「歌ってるときの彩人ってね、カッコいいの。誰も寄せ付けないような雰囲気でね。あたしだって彩人の世界には入っていけないんだって痛感させられるの」

「それがいやだから、見ないの?」

 清香はまた首を横に振った。

「違うよ。そういう彩人をそばで見てると、心臓が裂けそうなくらいバクバクするの。だから、見ないの」

「あ、そう」

彩世は吐き捨てるように言った。
 
いくら片割れのこととはいえ、他人のことに違いはない。清香が他の人間のことを熱く語るのが面白いわけがなかった。
 
多分、妬いてるんだろうな。
 
彩世は思った。
 
清香の滑らかな動きに、そのこぼれるほどの可愛らしさに、自分が強く惹かれているのが分かる。
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