白い鼓動灰色の微熱
彩人の彼女なのだ。

彩世が惹かれないわけがなかった。

「彩世君は何しに来たの?」

「清香ちゃんに会いに。」

清香は疑わしげに彩世を見た。

「前に言っただろう?清香ちゃんは彩人のいるところにいるって。だから、ここに来てみたんだ。彩人が今歌ってることが分かったから、もしかしたらここかなって」

清香の目が、驚きに見開かれた。

「彩人が今歌ってるってコトが、分かったの?」

「うん。彩人は歌ってるときにすごいテンション上がるから分かるんだ。オレもその余波みたいなものを受けて、気分が高揚する。だから分かるんだ」
 
清香の目が、輝いた。

「それ、羨ましい。彩人のこと、手に取るように分かるってことよね」

そうだった。
 
ちょっと気をつけて自分の中を探れば、彩人のことはだいたいわかった。
 
けれど、彩世は首を横に振った。
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