白い鼓動灰色の微熱
例えば服を買いに行ったときでも、彩人は野性的な勘があるのか、あっと言う間に自分のお気に入りを見つけてしまう。

当然それは彩世にとっても一番気に入るモノなわけで。

だけど、先に彩人が見つけた以上、彩世は色違いなどのお気に入り度の二番手なものを買ってもらう羽目になる。

昔からそうなのだ。

いつもはその二番手に甘んじているのだが、清香だけはそんな気にならなかった。

「一度うちにおいでよ。彩人と一緒にでもいいから」

「うちって、彩人が育ったおうち?」

「そうだよ」

清香は目を輝かせた。興味はあるようだ。

ただ、彩人は家を毛嫌いしていて、寄り付かないのだ。

興味だけそそっといて、清香だけでうちに来るように仕向けられるかもしれない。
 
思って、ハッとした。
 
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