白い鼓動灰色の微熱
自分の名刺をポケットから取り出すと、彼女に渡した。

彩世の勤める店の名前と、彩世がそこのネイリストだということが書かれてある。

女の子は顔を輝かせた。

『絶対行きますね』

唇がそう動いた。

なかなか可愛い顔をしている。

けれど彩世には興味のないことだった。

黒一色を、あんな指先に施しても、綺麗でもなんでもない。

黒か。

 
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