白い鼓動灰色の微熱
戻ってきた理性の中ではこの作業は苦痛だった。

ヒトを殺めてしまった。

そのことに頭が支配されていた。

どうして?

ただ殺したいためだけに?

彩世は力を込めて、こずえを川に投げ入れた。

水しぶきが大きく上がり、こずえが一瞬見えなくなった。

それから少し下流に姿を現わすと、流れに飲み込まれていった。

彩世はそれを見送りながら、その場にへたり込んでいた。





殺人鬼。




彩世の頭の中にはじめてその言葉が浮かんだ


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