白い鼓動灰色の微熱
ベンチに座ってベンチの背に頭を持たせていると、額にひんやりとしたモノが触れてきた。

目を開けると、そこに清香が笑っていた。

額には、缶ジュースの缶が押し当てられている。

「飲む?さっき、彩世君が来て、口つけちゃったんだけど」

「彩世が?」
 
清香は頷いた。
 
彩世が一体何しに来たんだろう。
 
それは訊かずに、額の缶を手に取った。
 
彩人には少々潔癖的なところがあって、他人が口をつけたもの。

特に缶ジュースなどに自分が口をつけることに少し抵抗を感じるのだ。
 
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