白い鼓動灰色の微熱
一気に中身を飲み干して、清香を見ると、清香は少し驚いていた。

「彩世君も平気なんだ。さすが双子だね」
 
一瞬何のことか分からなかった。

「彩人、人が口つけたもの、苦手でしょ」
 
彩人は黙って清香を見た。
 
誰かの後に口をつけるときの、彩人の一瞬の躊躇を、清香は読み取っていたらしい。
 
恐るべき子だ。
 
彩人は清香の手を引っ張って、隣に座らせた。
 
大人しく清香はそれに従うと、頭を肩に持たせてきた。
 
思わず、他のメンバーが傍にいないことを確かめてしまった。
 
メンバーはとっくに帰っているハズだった。

彩人だけ、体の不調を訴えて、休んで帰ると言って残ったのだ。
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