白い鼓動灰色の微熱
廊下の遥か向こうにスタジオの受付のお兄ちゃんが座っているだけだった。
 
彩人はしばらくその状況に甘んじることにした。
 
と、口から言葉がすべり出た。

やはり、気になる。

「彩世は何しに来たんだ?」

彩世がここを嗅ぎつけたことは何となく理解できる。
 
だけど何のためにここまで来たのかは分からなかった。

「もしかして、清香を口説きに来たのかな。」
 
彩世が女の子にはもちろんオトコにだって興味を示したのを見たことがなかった。
 
だから、彩世の好みは分からない。

けれど、もしかしたら、彩世の好みは、いつも彩人の彼女と一致するから、興味を持っていることを表せなかっただけかもしれない。

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