白い鼓動灰色の微熱
何度か説得を重ねやっと、写真なら見てもいいという気にさせたのだ。

清水は大塚刑事のデスクに乱雑に置かれていた写真を慌てて片付けた。
 
他の二体の分は豊の目に触れないようにのけ、デスクの引き出しに放り込んだ。
 
それから、確認をしてもらいたい遺体の写真を覗きこんで、比較的衝撃的じゃないものを選んで、そのほかのものは裏返しておいた。

「こんにちは」
 
まだ写真を見てもいないのに、豊は憔悴しきった顔で二人の前に現われた。

「ひどい顔だな。どうしたんだ?」
 
無遠慮に大塚刑事が訊くと、豊は勝手に大塚刑事の椅子を引き寄せて、すとんと座った。
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