白い鼓動灰色の微熱
「毎晩夢に、咲が出てくるんです。それもひどい姿になって。あれを見たのは数日前なのに、夢の方はどんどんリアルになってくる。いつも夜中に自分の悲鳴で目が覚めるんです。それから怖くて眠れない。すっかり不眠症になってしまいました」

「やっぱりお前が殺したんじゃないのか?」

大塚刑事が言うと、

「やめてください」
「やめてください」
 
豊と清水がハモって言った。

『冗談なのに』
 
大塚刑事は心の中で思った。

『どうもわしのジョークは高度すぎて理解されんらしい』
 
間が悪くブラック過ぎるだけなのに、大塚刑事は気付きもしないらしい。
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