白い鼓動灰色の微熱
「早速ですが、写真を見てもらえるかな?」

清水は言って、写真を一枚手に持った。そして豊が頷くのを見ると、ゆっくりとその写真を豊の目の前に置いた。
 
なるべくショックを与えたくなかった。
 
豊は、目を閉じていた。それから、ゆっくりと目を開けて、そーっと写真に視線を向けた。

「服は、間違いないと思います。神谷 咲のものだと思います」
 
それから、その、水を吸ってパンパンになった顔を見た。
 
豊はまたはきそうになって口を押さえた。

清水も、大塚刑事も、思わず身を引いた。
 
豊は手のひらをのけると、吐しゃ物の変わりに言葉を吐いた。

「咲です」
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