白い鼓動灰色の微熱
「何で、彼女が亡くなった当日の、服を覚えてるんだ?」
 
苛々とした大塚刑事の声がした。
 
刑事者のテレビなどでは、若く血気盛んな刑事と年取った温和なベテラン刑事が一組になっているのを見かける。
 
実際そういうことも多いのだろう。

しかし清水達の場合は違った。
 
年寄りでベテランの大塚刑事は、どちらかと言うと血の気の多い方で、気が短い。
 
それを押さえるのは若くて温和な清水の仕事だった。

「その日に会いました。でも急いでいて、少ししか会っていません」

「どこかへ行くとこだったんですか?」

「そうみたいです。」

「どこへ言ったんだ!?」

「聞いてません」

豊の目が、床のある一点に注がれた。
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