白い鼓動灰色の微熱
豊の閃き
豊は警察を後にしてフラフラと歩いていた。
よく、刑事は遺体を目の前に弁当を食えるほどにならなきゃ駄目だとか、テレビドラマの中などで聞く。
でも本気でそんなことが出来るようなヤツは人間じゃないと豊は思った。
送ってくれるというのを断ってこうして歩いているのだが、失敗したかなと思った。
迎えに来たのもパトカーで、乗り込むところを近所のヒトに見られてしまったのだが、かなりかっこ悪かった。
帰りまでそんな思いはしたくなかった。
けれど、よくよく考えてみると、連れて行かれるところだけ見られるよりも、送り届けてもらうところも目撃された方が良かった気がした。