白い鼓動灰色の微熱
胃のところがまだムカムカするし。
 
歩いて帰るのが馬鹿らしい気がしてきた。
 
戻って、やっぱり送ってくださいって言おうか。
 
豊は歩くのをやめて思った。
 
どちらにしろ、しゃきっと歩ける状態ではなかった。
 
豊はビルの壁にもたれかかった。
 
すると先ほど見た変わり果てた咲の姿が脳裏に甦った。
 
そして、前に本物を見たときの記憶まで鮮明に甦った。
 
胃がキューッと締め付けられるような気持ち悪さを感じた。
 
あれが咲だなんて。
 
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