白い鼓動灰色の微熱
あのとき、咲を止めていれば、咲はあんな姿にならずにすんだんだ。
 
咲は一体どこへ行ったんだろう。
 
どうしてあんな姿にならなければいけなかったのだろう。
 
と、豊の脳裏にもう一つの写真がよぎった。
 
最後に見た、床に落ちていた写真だった。
 
豊は何かひっかかるものを感じた。
 
何だろう。
 
目を閉じて考えてみた。
 
無残な遺体の姿が容赦なく頭に甦るのに、豊は耐えた。
 
と、
 
その記憶が光り輝いて降りてきた。
 
そうだ。彼女、見たことがある。
 
大柄な女で、結構綺麗だった。
 
綺麗だけど大柄なので、もったいないなあと思ったのだ。
 
豊は咲のように華奢な女の子の方が好きだった。
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