白い鼓動灰色の微熱
数回そういうことがあったが、全体的に言って、大きな病気もなく、彩人が元気だったことが彩世には分かった。

「よくここだって分かったな。」
　
彩人が耳元で叫んだ。
　
彩世は頷くと、

「凄っごい気分が良かったから、ここだってわかった」
　
彩人は学生の頃から、ここでよくライブをしていたのだ。
　
彩人がステージに立って歌っている姿を見ていると、自分がそこにいるような高揚した気分になるのだ。
　
それが、ライブを見ていないときでも、起こる。

そういう時は百パーセントの確率で、彩人のバンドがここでライブをしていた。
　
彩世は、そういうとき、必ずここにチェックしに来ていたのだ。
　
するとその日のスケジュールに必ず、彩人のバンドの名前、グリュックの文字が載っていた。
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