白い鼓動灰色の微熱
“殺された”その言葉に反応したからだ。
 
彩世!
 
彩人はぎゅっと目を閉じた。

「ちなみに一連の犯行と思われる事件はもう一件あるんです。そして、その三人の死亡推定時刻が、あなた方のライブやスタジオに入っている時刻に当てはまらなくもない」
 
彩人には、自分が歌っているときに出る微熱のわけがやっと分かった気がした。
 
ただ事ではない気はしていたのだ。
 
それが、殺人だったとしても、頷けるほど。

「ってことは、オレ達は犯人じゃないって証明にもなりますよね」

宮田が言って、清水が頷いた。

「じゃあ、何で、オレ達にわざわざその写真を見せに、来たんですか?」
 
宮田は不機嫌だった。
 
貴重な練習時間が、休憩するわけでもないのに、無駄につぶされてゆくのだ。
 
それに、多分宮田の頭には、彩人の微熱のこともあるのだと思う。
 
彩人が微熱を出している時間と、犯行の時間は重なるわけだ。
 
彩人の微熱は、彩世の行動に関係がある。
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